法律情報コラム(個人)
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交通事故に遭遇したら
交通事故にあったときどうしたらいいでしょう
まず110番通報をして警察に事故がおきたことを報告します。そうすれば、警察官は事故の現場にきて、事故の発生場所、自賠責保険会社はどこか、運転者の住所、氏名、年齢、車両番号、人対車の事故か、車両相互の事故の場合は、追突か、出会い頭衝突か、側面衝突か正面衝突かなどの事故形態など事故類型を調査して、それらの調査をもとに自動車安全センターが交通事故証明書を発行します。警察は事故現場の実況見分調書を作成します。これらの警察の調査は事故の直後の事故状況を示すものとして、後の民事上、刑事上の手続きの基本書類になります。
(加害者として警察に捜査されることになったら)
刑事上の手続きについては、警察官が捜査し、検察官が加害者を起訴するかどうかをきめます。単なる過失による交通事故の場合は別として、被害者の被害が重い場合は、起訴されて刑法上の業務上過失致死傷、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の危険運転致死傷、過失運転致死傷、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱、道路交通法違反の罪に問われることがあります。逮捕されたりした場合は、弁護士に依頼して弁護人として示談交渉や裁判での弁護を依頼した方がいいでしょう。
(民事上の手続きについて)
人身事故が発生したときは、被害にあったことの証明が必要となります。まずは警察の交通事故証明書を自動車安全運転センターに申請して取得する必要があります。次に、被害の証明として証拠となるのは、まず診断書ですが、さらに病院に診療録の開示請求をして受診記録、MRI等の検査記録、入院記録、看護記録等の謄写申請をする必要があります。
一般に、事故がおきたとき、任意保険会社や自賠責保険会社(人身事故のとき)などの保険会社の担当者がはじめから関わり、病院の治療費などは直接保険会社が支払う手続きがとられます。誠意のある対応がないとき、医療費等の支払いに応じないときには、被害者はまず自賠責保険の被害者直接請求をすることもできます。
示談できずに裁判を起こしたときはこれらの入院記録については文書送付嘱託を裁判所に申請することができます。訴訟となったときは保険会社はすべて被害者が受けた病院の診療記録の送付嘱託を申請することが多いようです
被害車両の破損状況や修理費用見積もり等も事故の状況や被害の大きさを証明する証拠にすることはできます。
これらの手続きは複雑なので、専門家である弁護士に依頼して手続きをした方がいいでしょう。
(事故原因について争いが生じたとき)
事故現場にいって事故時の状況を調査し確認することは必要となるでしょう。刑事事件記録は検察庁に保管されているので事件記録の閲覧謄写が可能ですが、加害者が起訴されたときは検察庁への送致年月日が必要となります。不起訴の場合は、閲覧謄写の申請をしても警察の実況見分調書しかでてきません。すでに裁判となっているときは裁判所へ文書送付嘱託を申し立てます。
(後遺症があるとき)
通院している病院で医師が症状固定としたときに、加害者側の保険会社経由で損害保険料率算出機構(いわゆる自算会)が後遺障害等級の事前認定をします。損害保険料率算出機構の会員は損害保険会社であり、損害保険料率算出団体に関する法律に基づき「損害保険業の健全な発達と保険契約者等の利益の保護」という社会的使命を果たすとされていますので加害者の利益を図ることが目的とされているともいえます。後遺障害の等級はこの損害保険料率算出機構の事前認定する後遺障害等級によってほぼ決まり、争うことはなかなか難しいです。事前認定といっても一度だされると変更することは相当難しい上に現在は書面審査であるのでどのような経緯で決められるかは外からはわかりません。むちうちの高次脳機能障害などの診断しにくい後遺症については、おかしいと思ったらできるだけ早く専門の病院で検査を受けた方がいいと思います。時間がたってから検査しても因果関係がないときられることが多いからです。