法律情報コラム(個人)
以前、相続放棄の手続を紹介しました。これは、亡くなった方(被相続人)の財産(遺産)が、積極財産よりも消極財産が多いような場合、つまり、相続人が遺産を承継することで、プラスにならずマイナスになるようなときに、相続人の地位を放棄するという手続きであると説明しました。
被相続人の消極財産の典型は借金ですね。被相続人が、生前、金融機関などから借入をしているような場合です。
借金と認識しづらいですが、年金が相続債務となる場合があります。というのも、年金受給者が死亡した場合、年金の受給権者がいなくなりますので、年金の支給は停止されます。しかし、死亡したことの届出がないと、年金事務所としては死亡した事実を把握できていませんので、年金の支給を継続することになり、被相続人が死亡した後に受け取った年金については返還しなければなりません。年金の不正受給が問題となったニュースも皆様のご記憶にあるかと思います。
亡くなった方の年齢等から年金受給の可能性がある場合には、死亡後速やかに年金事務所に連絡をして年金の支給を止めることが必要です。仮に止めるのが遅れた場合でも、受領した年金を返還すれば問題ありませんし、被相続人と同一生計にある方は、死亡した月までの年金分の未支給年金の受給申請という手続きもありますので、年金事務所にご相談ください。
相続の法的処理に直接関係しませんが、人が亡くなることで、相続人が行わなければならない手続きとしてご紹介いたしました。