法律情報コラム(個人)
年金分割制度は、離婚後に一方配偶者(標準報酬額の多い方の配偶者)の年金保険料の納付実績の一部を分割し、それを他方配偶者が受け取れる制度です。
分割の対象となるのは、厚生年金保険(共済年金を含む)の部分のみで、国民年金や厚生年金基金に相当する部分は分割の対象にはなりません。
また、あくまで「納付記録」を分割するものですから、将来受け取る年金額が分割されるわけではありません。
さらに言えば、分割を受ける配偶者自身が、保険料納付済期間の条件を満たしていなければ、そもそも年金受給資格が発生しませんので、分割を受けても年金は受け取れません。
年金分割には、合意分割と3号分割があります。
3号分割は厚生年金に加入している会社員や公務員等の配偶者で、年収130万円未満のいわゆる第3号被保険者が年金事務所に請求すれば、平成20年4月1日以降の期間について分割される制度です。3号分割の場合、当事者間の合意などは不要ですが、あくまで平成20年4月1日以降の期間の分割ですから、平成20年3月31日以前に結婚している場合は、合意分割の方が受取額が増える場合が多いでしょう。
合意分割は、離婚する夫婦が合意や裁判手続きにより案分割合(最大2分の1)を決め、その後年金事務所に請求することによって婚姻期間中の納付記録が分割されます。
3号分割、合意分割いずれの場合であっても、請求期限は原則離婚から2年とされていますので注意が必要です。