法律情報コラム(個人)

認知とは

婚姻中の父母から生まれた子は、嫡出子として当然に、その母とも父とも親子関係が認められます。

他方で、婚姻していない男女から生まれた子については、母子の親子関係は分娩の事実によって当然に生じるとされる一方で、父子の親子関係は、「認知」によって初めて認められる制度がとられています。

認知がなされると、子の出生に遡って効力が生じるので、認知された子は生まれた時から認知した父との間に親子関係があったことになります。その結果、子は父の相続人となりますし、父に対して扶養を求めることもできますが、これによって第三者が既に得た権利を害することはできません。

父が認知をした後父母が婚姻した場合は、子は婚姻の時から(通説)嫡出子の身分を取得し、父母が婚姻中に父が認知をした場合は、子は認知の時から嫡出子の身分を取得します。なお、かつては、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、平成25年12月に民法が改正され現在では非嫡出子も嫡出子も同じ扱いとなっています。

認知には、父が自らの意思により自分の子として承認する「任意認知」と、父の意思に関わらず裁判により父子関係の存在を確定する「強制認知」があります。
任意認知は、子に戸籍上の父が存在しない時でなければできませんので、戸籍上別な人物の嫡出子となっている場合や嫡出ではないが既に認知されている場合は、認知しようとする者は先ず父子関係存在確認ないし認知無効の訴えなどにより戸籍上父のない状態としなければなりません。また、胎児を認知する場合には母の承諾が、成人の子を認知する場合には子本人の承諾がそれぞれ必要です。

生物学上の父が任意に認知しない場合は、子及びその直系尊属(母、祖父母等)又はそれらの者の法定代理人は認知の訴えを提起することができます(強制認知)。父または母が既に死亡している場合は、死後3年以内に限り認知の訴えを提起することができます。認知の訴えにおいて原告が勝訴するためには、原告側で父子関係を立証しなければなりません。近年親子鑑定はDNA鑑定が主流であり、その精度も増しています。しかし、被告となる父が鑑定を拒否した場合は、現時点においては裁判所がこれを強制する方法はありませんので、認知を求める原告側は、父子関係の存在を基礎づける間接事実により立証するほかありません。