お知らせ

【急告】事実でない「父子関係」でお困りの方へ~嫡出否認制度の拡大と経過措置

民法が改正され、新しく母や子も嫡出否認の訴えを提起できるようになりましたが、本来、施行日である令和6年4月1日以降に生まれた子についてのみ適用されます。しかしながら、特例(経過措置)が設けられた結果、令和6年4月1日から令和7年3月31日までの間に限り、令和6年4月1日より前に生まれた子についても、母または子が嫡出否認の訴えを提起できることになりました。

次のような方が対象となります。

□ 子が(元)夫の子ではないため、出生届をためらっている母

□ 本当の父でない人の子とされてしまっている方やその母

DNA鑑定により父子関係を否定できるか、あるいは、DNA鑑定により別の男性との間の子であることが裏付けられれば、嫡出否認が認められる可能性が高いと思われます。

また、「父」とされる方の協力が得られる場合は、調停で解決することも可能です。

期間制限がありますので、お早めのご相談をお勧めいたします。

 

【詳しいご説明】

 令和4年12月10日に成立した改正民法により、これまで父とされた男性にのみ認められてきた嫡出否認の訴えを母や子にも認めるとともに、1年という期間制限が3年に延長されました。現実的に嫡出否認が難しいことから出生届をためらい、その結果、無戸籍となっているケースが少なくないと指摘されていました。今回の改正は嫡出否認のハードルを下げて、嫡出否認をやりやすくしたものです。

改正法は令和6年4月1日以降に生まれた子に適用されるものですが、次のような特例が定められました。すなわち令和4年法律第102号附則第4条第2項は、

新民法第774条第1項(子の否認権に係る部分に限る。)から第3項まで、第775条第1項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)、第776条(母に係る部分に限る。)、第777条(第2号及び第3号に係る部分に限る。以下この項において同じ。)及び第778条の2第1項の規定、第5条の規定による改正後の人事訴訟法第27条第2項の規定並びに第7条の規定による改正後の生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律第10条の規定は、施行日前に生まれた子についても適用する。この場合において、施行日前に生まれた子に係る嫡出否認の訴えに関する新民法第777条の適用については、同条中「当該各号に定める時から3年以内」とあるのは、「民法等の一部を改正する法律(令和4年法律第102号)の施行の時から1年を経過する時まで」とする(以下、経過措置)。

と定めています。

 したがいまして、母と子については、すでに出生から3年が経過していたとしても、令和7年3月31日までは、嫡出否認の訴えを提起することが可能です。

 今回の経過措置では、父による訴えは対象となりませんので、令和6年4月1日より前に生まれた子については、父が出生を知ったときから1年を経過していれば、父自身は嫡出否認の訴えを提起することはできません。

 ただし、母や子の協力を得られるようであれば、母や子から嫡出否認の訴え(あるいは調停)を起こしてもらうことで、否認することができますので、検討するとよいでしょう。